竜の医師団1
-
-
4.8 • 4件の評価
-
-
- ¥1,000
-
- ¥1,000
発行者による作品情報
この世は竜の創りしもの。竜のあるところに豊穣あり。だが竜が病む時、彼らは破壊をもたらす。〈竜ノ医師団〉とは竜の病を退ける者。極北の国カランバス。虐げられし民ヤポネ人の少年リョウは、憲兵から逃れ必死で飛空船の発着場を目指していた。〈竜ノ医師団〉は治外法権、飛空船で辿り着き入団できれば、ヤポネ人でも道が開ける。発着場に向かう途中リョウは、上流階級のお坊ちゃんレオニートに出会う。彼も医師団に入団したいというのだ。二人は協力して船に乗りこむが……。『水使いの森』で第4回創元ファンタジイ新人賞優秀賞受賞の著者が贈る、竜の医師を目指す少年たちの物語。/【目次】プロローグ/カルテ1 咽喉(のど)の痛みと、竜の爆炎/カルテ2 全身の痒(かゆ)みと、竜の爪/カルテ3 もの忘れ、ふらつき、そして竜巻(たつまき)/解説=小出和代
APPLE BOOKSのレビュー
患者は大地を揺るがすほど巨大な竜という大胆な設定の医療ファンタジー『竜の医師団』。古来、自然をつかさどる竜と共存してきた人類は、“患竜”の健康維持に竜専門の医師チームを結成して、生き延びてきた。とはいえ、4,000年以上生きる竜もいて、医師団にとって治療は未知と苦労の連続だ。注射はミサイルで、切開は削岩機などの重機が必要。竜の吐き出す炎や爆風から自分の命を守る必要もある。竜の医療を専門知識を交えてユーモラスに描くのは、写真家と医師の2人からなる執筆ユニット、庵野ゆき。ダイナミックな竜の描写は映画のようにリアルで、専門用語が飛び交う医療現場と“竜医大”での学生生活の切迫感もひしひしと伝わる。親を知らないリョウは、竜ノ医師団の入団テストを受け、上流階級のレオニートに助けられて無事に竜医大に合格した。リョウには見えないものが見える不思議な力があった。それは老竜ディドウスを癒やし、孤独だったリョウの人生を変えていく。血が苦手なレオニートや天才少女リリとの友情、変わり者の医師による熱血研修など、新しい世界に飛び出した少年の成長は一見ポップに映るが、実は深い感動を秘めている。