終戦のローレライ(1)
-
-
4.7 • 6件の評価
-
-
- ¥520
-
- ¥520
発行者による作品情報
昭和20年、日本が滅亡に瀕していた夏。崩壊したナチスドイツからもたらされた戦利潜水艦・伊507が、男たちの、国家の運命をねじ曲げてゆく。五島列島沖に沈む特殊兵器・ローレライとはなにか。終戦という歴史の分岐点を駆け抜けた魂の記録が、この国の現在を問い直す。第24回吉川英治文学新人賞受賞。【2005年3月公開 映画「ローレライ」原作】 (講談社文庫)
APPLE BOOKSのレビュー
世界を舞台にした壮大な冒険小説を得意とする作家・福井晴敏による「終戦のローレライ(1)」。第24回吉川英治文学新人賞などを受賞し、映画化・マンガ化もされた話題作。第2次世界大戦の終戦間際、ドイツ軍が秘密裏に開発した兵器"ローレライ・システム"を搭載した潜水艇、通称・海の幽霊(シーゴースト)が、敗戦色濃い大日本帝国の"最後の切り札"として任務を遂行する。緊迫感あふれる海中での戦闘シーンもさることながら、群像劇としての魅力も光る作品。かつては名艦長として知られた海軍潜水学校の教官や、17歳の若さで特殊兵器の乗組員として訓練された少年兵たち、物語の鍵を握る"ローレライ・システム"の謎を熟知する軍人など、個性的な登場人物の背景も緻密に描かれる。それぞれの信念や思惑、純粋な想いが交差しながら、一国の命運をかけた熱い人間ドラマが展開。架空の戦記ではあるが、史実をなぞったリアリティあふれる構成は臨場感を生み出す。乗組員たちには伏せられていた軍上層部の真の目的とは何か、(2)以降で物語の全貌が明らかになる。