老いの身辺をさわやかに生きるための言‪葉‬

《まえがきより》

近年の日本人は、世の中が理想通り動くのが当たり前、と思うようになった。ところが、戦前の日本の現実を知っている世代の私などは、いつの時代だって現世は思い通りにならなくて当たり前、と思って来たのである。これが大きな違いだ。

思い通りにならない世界だから、文学も絵画も映画も生れるのだ。(中略)絵画も映画も、皆作品にこの悲しみの世の一部を必ず切り取って埋め込んで来たのだ。

その悲しみや不運をどう処理してきたかが、個人の歴史そのものなのだ。

悲しみや苦悶を抱えながら、人はどう生きるべきか。惑う人の道標となる貴重な一冊。視力の弱い方でも読みやすくするために文字の大きさをデフォルトで少し大きくしました。