闇をわたる セレブ・ケース
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4.2 • 5件の評価
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- ¥1,800
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発行者による作品情報
捜査対象は上級国民。セレブ担当刑事、現る
「上級国民」の闇を暴け!
愛車はポルシェ・カイエン、自宅は六本木の高級マンション。
セレブ出身、セレブ担当刑事が追うのは、セレブリティが吐いた嘘。
主人公・二階堂悠真の肩書は、「警視庁特別対策捜査官」。
警視総監直轄の部署……といっても、実際には「部署」ではなく「窓口」で、担当は彼一人だけ。
ある日、二階堂のもとにある女性が相談に訪れる。窃盗事件の被害届を出したいのだが、所轄の態度が気に食わないので何とかして欲しいとのこと。彼女は被害者の後妻で、元ホステスの女だった。
被害者は港区内に住む資産家・梅島。ラーメン屋の親父から、一代で巨大飲食チェーンを育て上げた“成金”で、会ってみると極めて高慢な人物。
しかも、非常に立派なウォッチワインダーがあるのに、時計が置いていない=盗まれた可能性があるのに届けて出ていないなど、怪しい面がある……。
捜査を進める二階堂の元に、今度は渋谷中央署から電話が。
なんと、総務省審議官の息子を強盗の容疑でしょっ引いたというのだ。
複雑に絡み合う二つの事件、秘められた名門一家の過去とは。
待望の新・警察シリーズ始動!
APPLE BOOKSのレビュー
警察小説の旗手、堂場瞬一が金に支配された現代日本の闇に斬り込んだ意欲作。主人公の二階堂悠真は「警視庁特別対策捜査官」。セレブリティが関与する事件を担当する、いわばたった一人の“相談窓口役”だ。ある日、一柳ホールディングス社長が住む梅島邸に泥棒が入り、希少なアンティーク時計のコレクションが盗まれる。一方で、総務省審議官の息子が、別の強盗事件の容疑者として任意で取り調べを受けた。異なるはずの二つの事件に思わぬ接点を見いだした二階堂は、複雑に絡み合う人間関係と、容易にはうかがい知れない「上級国民」の闇へと肉薄する。一代で成り上がった成金、銀座の元売れっ子ホステス、総務省のエリート官僚と挫折感にさいなまれるその息子…。表向きは華やかな世界に生きる人々と事件の裏側を暴く過程がサスペンスフル。セレブ案件専門というユニークな設定により、警察小説ファンのみならず、幅広い読者に新鮮な読書体験を提供するだろう。全編にウィットが漂い、重すぎない筆致で進むのは、本作がチャンドラーの衣鉢を継いだ古典的なハードボイルドでもあるからだろう。主人公の出自にまつわる謎もまた興味深く、シリーズ続編を心待ちにしたい。