難問の多い料理店
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3.6 • 7件の評価
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- ¥1,900
発行者による作品情報
『#真相をお話しします』で大ブレイクした結城真一郎が2年ぶりに仕掛ける、
笑いあり、驚きあり、そして怖さあり……の摩訶不思議な本格ミステリ、ここに爆誕!!
――どなたもどうかお読みください。決してご遠慮はありません。
こんなミステリを、私たちはずっと待っていた!!
ビーバーイーツ配達員として日銭を稼ぐ大学生の「僕」は、注文を受けて向かった怪しげなレストランで、オーナーシェフと出会う。
彼は虚空のような暗い瞳で、「お願いがあるんだけど。報酬は1万円」と、嘘みたいな儲け話を提案し、あろうことか僕はそれに乗ってしまった。
そうして多額の報酬を貰っているうちに、僕はあることに気づく。
どうやらこの店は「ある手法」で探偵業も担っているらしい、と。
不自然な焼死体が出たアパート火災、空室に届き続ける置き配、謎の言葉を残して捕まった空き巣犯、なぜか指が二本欠損した状態の轢死体……。
オーナーは、配達員に情報を運ばせることで、どんな謎も華麗に解いてしまう。
そして、配達員にこう伝えるのだ。
――「口外したら、命はない」と。
APPLE BOOKSのレビュー
日常と隣り合わせの題材とミステリーを融合させて話題となった『#真相をお話しします』の結城真一郎による本格ミステリー。舞台は六本木にあるレストラン。表向きはデリバリーに特化し、一つの店舗の中に約30軒分の店を抱える“ゴーストレストラン”。ところが裏では特定の商品群を注文することで隠しコマンドが発動し、探偵業に変わるという超多角経営の店だ。その報酬の良さから実働部隊として多くの配達員が探偵業の一翼を担っているが、まるで蝋人形のように完璧な風貌に、マジックミラーのように無機質で、感情を示さない瞳を持つオーナーからは「もし口外したら、命はないと思って」と宣告されている。店にオーダーされるのは、不自然な状況で見つかった焼死体や、死因とは関係なく指を失っていたれき死体など、さまざまな事件に隠された謎解き。オーナー自身はレストランにいながらも、配達員と“とある筋”から得た情報だけで鮮やかに謎を解いてしまう。順調に見える探偵業だが、ある事件をきっかけに、配達員の中に共通の疑惑が生まれていく。ハートウォーミングな出来事を交えながら進んでいた物語が突如転調する恐ろしさを含め、まさに“難問の多い”物語だ。