頭がわるくて悪くて悪い
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4.5 • 2件の評価
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- ¥1,800
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発行者による作品情報
「宇宙人を殺すのはなんの犯罪にもあたらねえんだよ」
人間社会に溶け込み、悪事を働いている宇宙人を駆除すれば一晩で15万円。簡単なお仕事だといわれ、人生に行き詰った三浦馬連と山井孝直は宇宙人の隠れ家をタタきに向かう。合法ドラッグ、裏切りの裏切り……人はみんな思い込みで生まれて、勘違いで死んでいく。
日本語ドーピングの新鋭が描く、この世界の不条理=馬鹿馬鹿しさ。
APPLE BOOKSのレビュー
三ヶ嶋犬太朗名義でマンガ家としても活躍する献鹿狸太朗(けんしか まみたろう)が、現代社会の底辺で生きる人々をユーモアたっぷりに描く異色のファンタジー小説。家庭環境に恵まれず、人生に行き詰まっている三浦馬連(みうら ばれん)は、自分は頭が良いと言い張る山井孝直と共に「ある仕事」に向かっていた。その仕事とは、人間社会の中に巧みに溶け込み、悪事を働いている宇宙人を15万円で駆除するというもの。依頼者である両角(もろずみ)の指示を受けてターゲットの隠れ家に踏み込んだ2人は、まるで映画に出てくるような銀色の肌と大きな黒い目を持つ宇宙人と遭遇する…。登場人物たちのリアルで何げない会話と、ハードなバイオレンス描写をあくまで地続きにあるものとして描いた本作。頭で考えるよりも、その場の空気や感情に流されるように生きる馬連と山井の姿は、目先の報酬のために、若者たちが気付かぬうちに社会の闇に取り込まれてしまう問題を鮮やかに浮き彫りにしている。音楽的なリズムを持ったポップな文体と、驚きのあるストーリー展開で読者を一気に物語世界に引き込む手腕は見事の一言だ。