高島太一を殺したい五人
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3.5 • 2件の評価
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- ¥1,700
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発行者による作品情報
高島太一を殺したい。松木真桜。教師から塾講師に転身。指導者が教え子を殺すことは許せない。川瀬奏音。一般企業を辞め、講師に。高島太一の罪の露見で、塾の名声を傷つけたくない。檜垣兵吾。学生の頃から働き始め正社員に昇格。被害者の復讐を果たしたい。須之内すみれ。塾長に引き抜かれる。愛する人に汚辱にまみれてほしくない。中森直哉。古参の講師。息子の罪による母親の心の瓦解を防ぎたい。だから、みんなが殺したい。
APPLE BOOKSのレビュー
飛行機や別荘など、閉鎖された環境で起こる事件を描いたいわゆるクローズドサークルものを得意とする石持浅海による、ロジック満載のミステリー『高島太一を殺したい五人』。5人もの人間に殺したいほど恨まれるなんて、高島太一とは一体どんなひどい人物だろうと思いきや、学習塾経営者の息子で真面目な塾講師であり、その人柄は高潔といってもいいほど。ところが太一は殺人者となってしまった教え子の犯行を止めるため、教え子を自ら手にかけるという蛮行に走る。完全犯罪をもくろんだ太一だが、物陰から一部始終を見ていた5人の人物がいた。しかもその5人はなんと太一の同僚の塾講師たち。犯行を見てしまった5人は、それぞれの考えで太一を殺害せざるを得ないという結論に達し、高島家が所持する別荘で行われるサマースクールに合わせた犯行をもくろむ。ところが、別荘を訪れた塾講師たちを待ち受けていたのは驚きの展開だった。思いは異なれど行き着く先は一緒という5人が、互いに相手の真意を疑いながらロジックを繰り広げるストーリーの面白さ。そしてさすが塾講師だと思わせる言葉の応酬。この先行きの見えなさに、ハラハラさせられること間違いなし。