11文字の檻 青崎有吾短編集成
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4.6 • 10件の評価
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- ¥790
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発行者による作品情報
『体育館の殺人』の衝撃のデビューから10年。“平成のエラリー・クイーン”と称された青崎有吾は、短編の書き手としても高い評価を獲得し、作品の幅を広げ続けている。JR福知山線脱線事故を題材にした人間ドラマ「加速してゆく」、全面ガラス張りの屋敷で起きた不可能殺人の?末「噤ヶ森の硝子屋敷」、観測不能な最強の姉妹を追う女たちの旅路「恋澤姉妹」、奇妙な刑務所に囚われた男たちの知力を尽くした挑戦を描く力作書き下ろし「11文字の檻」に、人気コミックのトリビュート作やショートショートまで、10年の昇華である全8編を収録。/【目次】まえがき/加速してゆく/噤ヶ森の硝子屋敷/前髪は空を向いている/your name/飽くまで/クレープまでは終わらせない/恋澤姉妹/11文字の檻/著者による各話解説
APPLE BOOKSのレビュー
精緻なロジックとプロットを組み立てたいくつもの長編推理小説で読者を魅了する青崎有吾が、2022年12月、作家生活10周年記念として発表した短編集。『彼女。 百合小説アンソロジー』で発表された話題作「恋澤姉妹」や、“2,000字以内でどんでん返し”の条件が課されたショートショート「your name」、そして書き下ろし「11文字の檻」など、多種多様な8編を収録している。始まりは平成17年に起きたJR福知山線脱線事故と忘却をテーマにした「加速してゆく」。謎解きが得意な青崎が、あえて答えを明言しないたくらみにハッとする。最後を締めくくる「11文字の檻」は、ディストピアと化したある国で拘束された官能小説家が主人公の脱出劇で、してやったりとほくそ笑みたくなる種明かしが爽快だ。著者による巻末の各話解説では、収録作「噤ヶ森の硝子屋敷」(つぐみがもりのがらすやしき)のシリーズ化構想や人気シリーズ『ノッキンオン・ロックドドア』との関連も明らかに。最後の一文まで読者を楽しませるサービス精神旺盛な内容は必読だ。