17歳のサリーダ
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- ¥1,900
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発行者による作品情報
元JK、一人ぼっちの出口(サリーダ)を目指す!
「はぐれものに居場所はない」
親友と自分のいじめを放置した先生はそう言ったけど、わたしは違う!
突然差し伸べられた赤の他人の手を取った彼女は、フラメンコに出会いーー。
今なら何でもない事に、傷つき、悩んだあの頃。
あなたの中の少女にやさしく語りかけたい。
「大丈夫。たとえまた暗い夜が来ても、わたしはそこから抜けだせる!」
小説現代長編新人賞作家、待望の最新作
〈あらすじ〉
新菜は高校をやめた。親友と自分のいじめを知りながら放置した学校に失望したからだ。孤独な日々を送る彼女は、ある日、プロのフラメンコダンサー玲子とカンタオール(歌い手)のジョージと出会う。二人の誘いでフラメンコを始めた新菜。玲子の優しさとジョージの歌に触れながら、止まっていた新菜の人生は再び時を刻みはじめる。
APPLE BOOKSのレビュー
いじめに遭い高校を中退した17歳の少女、新菜がフラメンコと出会って人生を切り開く青春物語。孤独で暇な時間を過ごしていた新菜は、平日の街で出会った風変わりな大人たちに導かれ、フラメンコを習い始める。新菜の中には、自分と親友が受けたいじめを把握しながらも放置した学校への怒りがあり、学校に通うという道から外れてしまったことへの大きな不安もある。フラメンコダンサーの玲子は、そんな新菜だからこそ「踊る理由がある」と指摘し、ダンスの才能を引き出していく。フラメンコ特有の複雑なリズム構成が作品の根幹となり、そのリズムを試行錯誤しながら体得していく新菜の心の移り変わりが軽やかに、深みをもって描かれる。フラメンコは、嘆きや悲しみの感情を表現した歌が起源といわれる。新菜はその歴史と文化を知り、ダンスを通して自らの感情を解放する喜びを覚え、そして同時に、誰もが複雑で多様な事情を抱えていることに気付いていく。どこか影のあるコック兼ギタリストのジョージや、いじめの後遺症に悩む親友のミリなど、大切な人たちと不器用に、けれど真剣に関わりながら世界を広げていく新菜の成長がまぶしい。