8月31日のロングサマー(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

8月31日をループし続ける高校生たちを描いた青春コメディ。繰り返される8月31日の中で出会った高校生、鈴木くんと高木さん。タイムループの記憶を唯一共有した2人は、そこから脱出すべく、鈴木くんが夏休みにやり残した目標である「恋」に挑む。SF設定を裏切る淡々とした会話劇に、笑ってときめく注目作。ポップで懐かしい作画に加え、「繰り返し」と「変化」を対比させるコマ割りも秀逸で一気に引き込まれる。なによりの魅力は、男子校育ちで女子に免疫のない鈴木くん。デリカシーはないが一生懸命なキャラクターがリアルで、高木さん同様どん引きしつつも憎めない。少しずつ近づいてはこじれる2人の関係にやきもきしつつ、夏の終わりの切なさをかみしめよう。