日曜の午後はミステリ作家とお茶を
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- ¥1,100
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発行者による作品情報
「事件を解決するのは警察だ。ぼくは話をつくるだけ」そう宣言しているミステリ作家のシャンクス。しかし実際は、彼はロマンス作家である妻のコーラと一緒にいくつもの謎や事件に遭遇し、推理を披露して見事解決に導いているのだ。取材を受けているときに犯罪の発生を見抜いたり、殺人容疑で捕まった友人のため真相を探ったり、犯人当てイベント中に起きた『マルタの鷹』初版本盗難事件に挑んだり、講演を依頼された大学で殺人事件に巻き込まれたり……。結婚20年余りになる作家夫妻の日常と謎解き。図書館司書の著者が贈る連作ミステリ短編集。/解説=大矢博子
APPLE BOOKSのレビュー
図書館司書として勤めながら執筆活動を行っているアメリカの作家、ロバート・ロプレスティの「日曜の午後はミステリ作家とお茶を」は、ユーモアミステリーの連作小説。主人公のミステリー作家、レオポルド・ロングシャンクスは、妻でロマンス作家のコーラと2人暮らし。作家として過ごす日々の中で巡り合う、さまざまな事件の謎を解いていく。何げない街の情景から事件を察知して未然に防いだり、殺人犯と疑われた友人を情報だけで推理して助けるなど、安楽椅子探偵のような小気味よい活躍ぶりを見せる。一方で結婚20年余りの妻には従順で、かつてのガールフレンドの押しに弱いといった親しみやすいキャラクター設定や、リラックスして読める雰囲気も魅力。ショートショートも含めた14話、全ての状況設定や推理展開が異なっていて、著者の引き出しの多さも感じられる。章の終わりにはネタの出どころや物語に関するこぼれ話など著者のひと言が書き添えられていて、そのメモを読んでから再読するのも楽しい。