絶筆
-
-
4.7 • 3件の評価
-
-
- ¥1,600
-
- ¥1,600
発行者による作品情報
2022年2月1日に死去した石原慎太郎氏。その最後の文学的結晶――
限りなくピュアな初恋の記憶を描いた「遠い夢」、死後公開された「死への道程」など、単行本未収録のまま残された作品を収録。
「太陽の季節」から67年、まさに「白鳥の歌」と呼べる一冊。
APPLE BOOKSのレビュー
2022年2月に逝去した石原慎太郎の最後の作品集。晩年に書かれた単行本未収録の短編5編と遺稿となったエッセイ「死への道程」を収録。初恋の女性との淡い記憶と再会を描き、祭壇にまき散らされる白いバラの花が鮮烈な「遠い夢」、機体の故障で生き延びた特攻隊員が二十数年ぶりに本土に戻り手に入れた満足に心打たれる「空中の恋人」、震災時に北上するトラックに同乗した主人公が多くの死に触れ、幽霊たちの孤独を知る「北へ」、ファッション業界に身を置く女性の目線で歳の離れた若いボクサーを描く異色のボクシング小説「愛の迷路」、事故で半身不随になった男が、40年の結婚生活を通じて結局自分は運が良かったと悟る「ある結婚」。“死”や“ボクシング”など、芥川賞を受賞した『太陽の季節』から連なるテーマもあるが、かつての性急で反倫理的な作風とは異なり、穏やかに慈しむような感覚がある。医師からの余命宣告を受けて著したエッセイ「死への道程」で“死”を考察し、“いつかは沈む太陽だから”と美空ひばりの歌を引き、自らの死は自分自身のものであり、誰に奪われるものでもないという境地に達した作者ならではの、まさに『絶筆』なる作品。