たとえば孤独という名の噓
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4.0 • 8件の評価
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発行者による作品情報
一話ごとに反転する真相に驚愕必至!
「……俺はいつからハメられてたんだ?」
〈姫川玲子シリーズ〉〈ジウシリーズ〉を手掛ける警察小説の名手の新境地は、1話ごとに真相が反転する、慟哭の【警察×スパイ】ミステリー。
◇◇◇
警視庁公安部の佐島はある日、被疑者取調べに駆り出された。大学時代の友人・稲澤が、勤務先の女性部下・矢代を殺害した容疑をかけられていたのだ。被害者はなぜか、二人が学生時代に共に恋焦がれた女性・綾と瓜二つだった。
容疑を否認しつつ稲澤は言う。
「矢代は中国のスパイだったんじゃないか」
取調べを終え部屋を出ると、そこには特捜幹部が顔を揃えていた。彼らは1枚の紙を佐島に突きつけた――いったい、何がどうなっているんだ?
◇◇◇
1話ごとに視点人物が移り変わり、それによって明らかになってゆく事実。
事実が事実を揺るがし、真相は煙雨のなかに彷徨う。
ラストに辿り着いたとき、あなたの頬に流れるのは、涙か、雨粒か――。
◇◇◇
――私に残ったのは、あの人だけだった。
だからこそ、赦せなかった。
APPLE BOOKSのレビュー
警察小説の名手、誉田哲也による大胆な構成の5編からなる連作ノワールミステリー。警視庁公安部の佐島賢太は、大崎警察署から殺人容疑で勾留中の被疑者、稲澤敏生の取り調べを要請される。佐島と稲澤は大学時代の友人で、口を割らない稲澤は佐島となら取り調べに応じるというのだ。被害者の矢代愛美は稲澤の部下。容疑を否認する稲澤は、かつて2人が恋い焦がれ、すでに亡くなった岸本綾と被害者がうり二つで、中国語を話しているのを目にしたことから、彼女は自分が担当する決済システムを狙う中国のスパイなのではないかと言うのだが…。第1話の「レイン」から、別の公安部員の目を通して描く「ダーク」、そして刑事へと変わる「ドッグ」など、各話とも視点人物が異なることで見えてくる、警察内部の思惑の違い。同じ事件が話ごとに異なる様相を見せる構成は多重解決ミステリーを思わせるが、そこからあふれ出す暗い情念こそが一番の読みどころだろう。最後の2話の副題が、『あるいは裏切りという名の犬』をはじめとするオリヴィエ・マルシャルのノワール映画への明らかなオマージュとなっていることからも、それがうかがえる。善悪に揺れ、残酷な運命にもてあそばれ、非情な行動へと追い込まれていく人間の真実を描き出している。