眠れぬおまえに遠くの夜を
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- ¥2,200
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発行者による作品情報
桐野夏生が描く韓国芸能界と「墜ちる男」
32歳で遅咲きのデビューを果たし、人気俳優として活躍するパク・テミンは、
「終わった男」ことニック・ナダンについて語り始めた。
10代の頃、ともに過ごしたヴァージニア州・アナンデールでの日々。
しかし道は分かれ、ナダンは驚くべき速さで成功を収め、
これまた驚くべき速さで凋落していった。
世界を股にかけるK-POPグループの一員であるという酩酊と、祖国からの追放。
挫折と成功、ふたりの男の運命が交錯する。
韓国芸能界を舞台、圧倒的彩度の独白、桐野文学の極北がここに。
“ナダンの話に興味を持つ人は、そう多くはないはずだ。
「ナダン? あのナダン? 彼は終わったよ」。
誰もがそう言うからだ。
彼はあっという間にアイドルとして頂点を極め、
俳優としても才能を認められた。
だが、十五年後には、何もかも失っていた。
これは、ナダンが驚くべき速さで成功を収め、
これまた驚くべき速さで凋落していった物語でもある。”
APPLE BOOKSのレビュー
過酷な韓国芸能界を舞台に、2人の男の数奇な運命を描く桐野夏生の長編小説。33歳で遅咲きのデビューを果たした人気俳優テミンは、かつての友人であり、今では“終わった男”となったナダンについて語り始める。2人は10代で出会い、青春を共にした時代もあった。しかし、ナダンは世界的トップアイドルへと上り詰めた後、スキャンダルによってすさまじい速さで転落していった。本作の醍醐味(だいごみ)は、終始テミンの独白形式でつづられる濃密な心理描写にある。貧困から這い上がりスターの座をつかみながら、何者でもない自分という虚無にさいなまれるナダン。遅咲きゆえに成功を手にした後も苦悩するテミン。華やかなエンターテインメント産業に潜む搾取の構造や、男たちの間に渦巻く嫉妬と執着が、人間のエゴや社会の暗部を描いてきた桐野夏生の鋭利な筆によって克明に暴き出されていく。韓国の社会情勢や現代史を巧みに織り交ぜながら、光と影が反転する不条理な世界で、逃れられない孤独にもがき苦しむ男たちの魂を昇華する手腕は見事。桐野文学の新たな到達点が味わえる力作だ。