反ミーム部門は存在しない
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5.0 • 1件の評価
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発行者による作品情報
梨さん推薦! 「SCP財団」発ホラーSF
反ミーム、それは相手の記憶・記録から自らを消し去る不可解な存在。人類を守るため密かにこの脅威と対峙し続ける秘密組織を描く
APPLE BOOKSのレビュー
「反ミーム」と呼ばれる異形の存在“アンノウン”と、秘密組織“機関”との対峙(たいじ)を描くSFホラー。ミームとは模倣や共有を通じて人に伝わっていく文化的な情報のことで、ネット文化における「ミーム画像」もここから派生している。対して本作で描かれる反ミームは、拡散を拒む性質を指す。カメラで撮影してもその姿は現像されず、ペンで正確に書き写すこともできない。そして何があったのかを認識し、記憶にとどめておくこともできない。つまり、戦うべき存在も理由も消去されてしまう、そんな不条理な敵との戦いをスリリングに描いている。物語は時系列がシャッフルされ、読者は視点や記憶が欠落したまま読み進めることになる。そして数ページ前に語られた事実がゆがんでいくような感覚に襲われ、読者自身も反ミームに幻惑されているのではないか、という想像にとらわれる。作中人物と同様、思い出せない恐怖を追体験させる仕掛けが秀逸だ。“機関”の部門員たちが何度も敗れながらも、それでも敵に食らいつく姿には、忘却の輪廻(りんね)の中で生き続けるしかない人間の業と悲壮感がにじむ。本作は、それでもあらがおうとする人間の意志の物語でもある。世界各地のユーザーが架空の超常現象を報告形式で投稿する、匿名掲示板発の共同創作プロジェクト『SCP財団』内で連載されていた作品をノベライズした異色作。