妖都
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3.0 • 1件の評価
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- ¥950
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発行者による作品情報
黄昏の東京――。鞠谷雛子は、周防馨は、電柱の陰の、交差点の向こうの、ふとした廃墟の様相に“死者”を見る。東京の街で“死者”が増殖し始めたのは、CRISISのヴォーカリストにして両性具有と噂された、美しくも妖しいチェシャが自殺してからのこと。“死者”たちが引き起こす恐怖は臨界へと達し、やがて世界はあまりにも絶望的な相貌を見せ始める――前世紀末、読書界を震撼させた津原泰水の更始作、ついに復刊。
APPLE BOOKSのレビュー
津原やすみ名義で少女小説を執筆した後、津原泰水として再デビューした最初の作品である「妖都」。1997年当初、出版予定だった部署から内容の過激さが理由で出版が危ぶまれていたが、小説家綾辻行人の力添えで別の部署から無事出版に至ったというエピソードが残っている。舞台は東京。大学生の鞠谷雛子(まりやひなこ)は東京に出てきてから毎夜のように「死者」に襲われる夢を見ていた。一方、霊視能力のある周防馨(すおうかおり)は人々を凄惨に死に引き込む「死者」の存在に気づく。「死者」が引き起こした渋谷での事故現場に遭遇したことをきっかけに二人が出会うことから、冥界と現世が入り混じった東京の街で、壮絶な殺戮の恐怖が幕を開ける。耽美で夢幻的な表現世界、グロテスクな場面でさえ脳裏に美しい情景を浮かばせるような描写など、ホラーと幻想小説のエッセンスが入り混じった物語が読み手を引き込んでいく。文体の魔術師と言わしめる作者の魅力が物語の隅から隅まで余すところなく堪能できる作品。