回樹
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- ¥950
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発行者による作品情報
日本SF大賞ノミネートの奇想小説集
真実の愛を証明できる物体『回樹』をめぐるありふれた愛の顛末ほか、誰も思いつけないアイデアと、誰でも思いあたる感情の全6篇
APPLE BOOKSのレビュー
『恋に至る病』や『死体埋め部』シリーズなど、一筋縄ではいかない話題作で知られる斜線堂有紀による初のSF短編集。秋田の湿原にこつぜんと現れた全長約1キロの巨大な人型の物体“回樹”を巡る、とあるカップルの愛憎を描いた表題作「回樹」。美容外科技術の発展により、骨の表面にエックス線撮影でしか見ることのできない文字を刻めるようになった世界を描いた「骨刻」。魂の入った傑作が生まれなくなって久しい映画界で、苦肉の策として行われる過去の名作映画からの“魂の解放”が巻き起こす騒動を描いた「BTTF葬送」。謎の不滅現象により、死体が腐ることもなければ、焼くこともメスを入れることもできなくなった世界で起きた事件を関係者の供述という形で描いた「不滅」。奴隷制度がまだ健在だった1741年のニューヨークで“人種の境界無き酒場”と呼ばれたとある酒場を舞台に起きたクーデターの真相を描いた「奈辺」など、全6編を収録。奇想天外でありながらもリアルな手触りの物語の中で描かれているのは、いずれも愛の形だ。さまざまな事情から一方通行になってしまった愛。その愛のためにたどり着いた美しくも切ない結末に、胸が締めつけられる。