妖櫻記 上
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3.0 • 1件の評価
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発行者による作品情報
時は室町。嘉吉の乱を発端に、南朝皇統の少年、赤松家の姫、活傀儡に異形ら、死者生者が入り乱れ織り成す傑作長篇伝奇小説、復活!
APPLE BOOKSのレビュー
ミステリー、時代小説、幻想小説など幅広い著作を手掛ける皆川博子の「妖櫻記 上」。室町時代を舞台に、有力武将らの争いの裏側で渦巻く陰謀や恋模様が入り交じる、歴史伝奇小説。物語は室町幕府の有力者・赤松満祐が、将軍である足利義教を暗殺したと言われる嘉吉の乱から始まる。ときを同じくして赤松の側室・野分が、寵愛を受ける側室の玉琴を亡き者とする。この場面に漂う野分の玉琴に対する強い怨恨が、以降の妖しい雰囲気を下支えしている。歯切れの良い文章を積み重ねるリズミカルな書きぶりと、呪術や修験道などが登場する幻妖な雰囲気がうまく融合した、独特で耽美な世界が魅力的だ。登場人物の言動などについて、時折、作者の解説が入るのも一興。南朝の血統を引く眉目秀麗な少年・阿麻丸と、野分の幼き娘・桜姫、そして玉琴の遺児がどのように関わっていくのか。この点では歌舞伎や浄瑠璃でよく知られる、やんごとなき姫君を巡る清玄桜姫物とも読め、その古典の流れをくむ展開となるのかどうか、物語の行方に期待が高まる。