おじいさんのランプ 朗読付
Publisher Description
「おじいさんのランプ 朗読付」
新美南吉(にいみ なんきち、1913(大正2)年〜1943(昭和18)年)の書いた童話です。
倉から出てきたランプを見て、おじいさんがしてくれた話とは。
朗読音声付きブックです。
縦書きで、すべての漢字にふりがなを振りました。
朗読は、尾張地方ネイティブで、宅録です。
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呉服屋(ごふくや)では、番頭(ばんとう)さんが、椿(つばき)の花(はな)を大(おお)きく染(そ)め出(だ)した反物(たんもの)を、ランプの光(ひかり)の下(した)にひろげて客(きゃく)に見(み)せていた。穀屋(こくや)では、小僧(こぞう)さんがランプの下(した)で小豆(あずき)のわるいのを一粒(ひとつぶ)ずつ拾(ひろ)い出(だ)していた。また或(あ)る家(いえ)では女(おんな)の子(こ)が、ランプの光(ひかり)の下(した)に白(しろ)くひかる貝殻(かいがら)を散(ち)らしておはじきをしていた。また或(あ)る店(みせ)ではこまかい珠(たま)に糸(いと)を通(とお)して数珠(じゅず)をつくっていた。ランプの青(あお)やかな光(ひかり)のもとでは、人々(ひとびと)のこうした生活(せいかつ)も、物語(ものがたり)か幻燈(げんとう)の世界(せかい)でのように美(うつく)しくなつかしく見(み)えた。
巳之助(みのすけ)は今(いま)までなんども、「文明開化(ぶんめいかいか)で世(よ)の中(なか)がひらけた」ということをきいていたが、今(いま)はじめて文明開化(ぶんめいかいか)ということがわかったような気(き)がした。
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*目次*
├おじいさんのランプ
│├かくれんぼで、倉の隅にもぐりこんだ東一君...
│├今から五十年ぐらいまえ、ちょうど日露戦争...
│├巳之助の新しいしょうばいは、はじめのうち...
│├巳之助はもう、男ざかりの大人であった。家...
│├菜の花ばたの、あたたかい月夜であった。ど...
│└「巳之助さんは今でもまだ本屋をしている。...
├付録 連続再生
└底本などに関する情報