これはいつかのあなたとわたし
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5.0 • 1件の評価
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- ¥1,900
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発行者による作品情報
「原稿、泣きながら拝んで読みました」と持ち上げながら必ず直しを命じる編集者。BE:FIRSTのLEOさんが涙ながらに語った決意、初ラブホでの醜態、母の口癖、J-WAVEに届くブラックなお悩み相談。日常と非日常の忘れられない/忘れかけたことを綴り、あるあると哀愁に満ち満ちた随想、これぞ日本のオアシス。
APPLE BOOKSのレビュー
1990年代の思い出を集合させた『ボクたちはみんな大人になれなかった』で小説家デビューした燃え殻。本作は、デビュー以来、さまざまな人々との出会いを「良いことも悪いことも、そんなに長くつづかない」という言葉を頼りに受け入れてきた著者によるエッセイ集だ。普通ではない故に小傷だらけだった過去と、50代になって少し落ち着いてきた今をクロスオーバーさせるエッセイの数々は、優しい視線で読者の心をほっとさせる逸品ぞろい。中でも小学校時代の健康診断での恥ずかしすぎる「ピンクパンティー事件」や、緊張すると過呼吸で卒倒する体質に悩まされた悲惨な過去のエピソードは秀逸。見方によっては笑えない自虐的な話なのに、弱さと粗相を包み隠さずストレートに描写するからこそ、笑える思い出話に。自慢もなければ人生訓もないが、周囲からの評価も自分の受け止め方次第で開き直れるようになったという著者のしなやかさが満ちている。マンガ家の大橋裕之による抜け感のある挿絵とのコンビネーションも心地よい。