ボクたちはみんな大人になれなかった(新潮文庫)
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4.1 • 77件の評価
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- ¥580
発行者による作品情報
それは人生でたった一人、ボクが自分より好きになったひとの名前だ。気が付けば親指は友達リクエストを送信していて、90年代の渋谷でふたりぼっち、世界の終わりへのカウントダウンを聴いた日々が甦る。彼女だけがボクのことを認めてくれた。本当に大好きだった。過去と現在をSNSがつなぐ、切なさ新時代の大人泣きラブ・ストーリー。あいみょん、相澤いくえによるエッセイ&漫画を収録。
APPLE BOOKSのレビュー
ウェブサイトで連載中から人気に火がつき書籍化した、燃え殻のデビュー作『ボクたちはみんな大人になれなかった』。アートディレクターとして業界の裏方で働く43歳のボクには、かつて自分よりも好きになった人が1人だけいた。文通で出会ったその女の子は、インドが好きでアジアン雑貨店で働き、ダサいことが何より許せない人で、目的地を決めないで出かけることが大好きだった。美人でも、スタイルがいいわけでも、野心家でもない。彼女の魅力を説明できないけれど、聴く音楽や読む本、そして今でも自分が暑い国が好きなのは全て彼女の影響だった。「キミは大丈夫だよ、おもしろいもん」といつもボクが生きることを承認してくれた人。そんなある日、SNSに出てきたその昔の彼女に動揺したボクは友達申請のボタンを間違えて押してしまう…。1990年代の思い出の箱からあふれ出す彼女との日々の描写に、読者も自分の中で忘れられない人や思い出、景色がよみがえってくるかもしれない。刊行当時、主人公と同世代の多くの著名人からも共感を得たモラトリアム青春小説。