しろがねの葉
-
- ¥1,900
-
- ¥1,900
発行者による作品情報
戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。生きることの官能を描き切った新境地にして渾身の大河長篇!
APPLE BOOKSのレビュー
戦国時代末期の石見銀山を舞台にした自身初の時代小説『しろがねの葉』。現代を舞台にしたリアルな恋愛小説『あとかた』と『男ともだち』で、直木賞に2度ノミネートされた著者、千早茜が、世界遺産である「石見銀山遺跡とその文化的景観」を観光で訪れた際「銀山の女性は3人の夫を持つ」という言い習わしに触発され、銀山で働く少女ウメの一代記を生み出した。凶作と唐入りへの徴用から逃れるため、ウメの家族は稼げると噂の銀山を目指して農村から夜逃げする。しかし、ウメは家族とはぐれ、石見銀山の天才山師、喜兵衛に拾われた。夜目の利くウメは雑用係の手子(てご)としてかわいがられるが、銀山の間歩(坑道)は女人禁制。成長とともにウメは間歩には入れなくなり、妻として、母として、銀山の町で生きることになる。粉じんで肺を病み黒い血を吐いて死ぬ堀子の男たちを、ウメは何人も見送る。銀山に魅せられ、消えていった名もなき人々の性と死、そして無念を、千早は濃厚かつエロチックに浮かび上がらせた。