どうせそろそろ死ぬんだし
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3.4 • 28件の評価
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発行者による作品情報
2025年第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリ受賞作
余命宣告された人々が集まる山荘で起きた、ある一人の突然死。
自然死か殺人か――。超新星の二度読み必至「館」ミステリー!
「最初から最後までずっと罠ばかり。最大の罠は作風そのものかも」麻耶雄嵩(作家)
(あらすじ)
探偵業を営む七隈は、余命宣告された人々が集う交流会のゲストとして、助手の律と共に山奥の別荘に招かれた。
二人は交流会の参加者と食事をし、親交を深める。しかし翌朝、参加者の一人が不審な死を遂げる。
自然死か殺人か。殺人であれば、余命わずかな人間をなぜわざわざ殺したのか。七隈たちは死因の調査を始め――。
やがて明かされる驚愕の真相とは?
【著者について】
香坂鮪(こうさか・まぐろ)
1990年、熊本県生まれ。大阪府在住。現在、循環器を専門とする特定機能病院に勤務。第23回『このミステリーがすごい!』大賞・文庫グランプリを受賞し、本作でデビュー。
APPLE BOOKSのレビュー
外界との交通は可能、されど警察や科学捜査の手は及ばないという“中途半端なクローズドサークル”を描いた話題作。「かげろうの会」のイベントにゲストとして招待された探偵の七隈は、助手の律と共に山奥の別荘へと向かう。ミステリー好きが多いという会のメンバーは2名の医師、会社取締役、記者、主婦、学生と、てんでばらばら。唯一の共通点は、招待された人は皆余命宣告を受けているという点だった。メンバーが勢ぞろいしたディナーの席では、自己紹介に加え、余命宣告を受けた経緯について語るという特殊な状況。そんな中、ゲストとして招待された七隈に期待されていた役割は、現役探偵による事件話だった。和やかに一日を終えたメンバーたちだが、翌朝、メンバーの一人が死体で発見されてしまう。メンバーの医師たちによる検案の結果、死因は自然死とされたが、七隈は帰宅までの暇つぶしがてら律と一緒に調査を始める。余命宣告された人々が集う山荘という舞台。余命わずかな人間をわざわざ殺したのだとすれば、誰がなぜそんなことをしたのかという謎。癖のある設定と読み手の推測をひらりとかわすような仕掛けに、2度読み必至の快作だ。