アイヌ神謡集
発行者による作品情報
『アイヌ神謡集』は、アイヌ民族の口頭伝承である「神謡(カムイユカラ)」を、金田一京助のすすめで知里幸恵が日本語に翻訳して編纂したもの。「自然と共生する世界観」を提示することで、それまでのアイヌ文化に対する差別的な偏見を払拭した。
アイヌ信仰では、動物、植物、自然現象など、あらゆるものが「カムイ(神)」として存在すると考えられている。そうした神々が自らの物語を語ったものが「神謡」で、そこにはアイヌの人たちの自然への畏敬の念が反映されている。
知里幸恵は、大正11(1922)年に『アイヌ神謡集』の執筆を始めたが、最終校正を終えた直後、下宿中の金田一家で心臓発作により19歳の若さで急逝。『アイヌ神謡集』はその翌年、郷土研究社より刊行された。
この作品には、昨今では不適切として受け取られる可能性のある表現が含まれますが、当時の時代背景、表現およびオリジナリティを尊重し、そのままの形で作品を公開します。