コスメの王様
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5.0 • 1件の評価
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- ¥1,600
発行者による作品情報
東洋の化粧品王は、いかにして誕生したか。
「ほんまに、きみが愛おし!」
時は明治の世。秀才ながらも、山口の家族を支えるため進学をあきらめ、単身神戸に出てきた少年・利一。牛より安い値段で花街に売られてきた少女・ハナ。神戸の花隈での二人の出会いは、やがて日本の生活をも一変させる発明、大ヒット商品誕生へとつながっていく。そして、幼い日に誓い合った約束の行方は?
産経新聞連載時から大反響! 明治・大正・昭和の激動期を、「真心」の製品作りと斬新な宣伝手法を武器に乗り切り、大阪で100年を超える会社を創業した“東洋の化粧品王”と呼ばれた男の一代記!
APPLE BOOKSのレビュー
大阪を舞台にした『グランドシャトー』や、出身地である神戸を舞台にした『上流階級 富久丸百貨店外商部』シリーズで知られる高殿円。2021年4月から11月まで新聞に掲載された連載小説『コスメの王様』は、純国産化粧品を開発した実在の化粧王こと、中山太一をモデルにした大河小説。神戸随一の花街、花隈で芸妓となったハナの自立も並行して描かれ、明治、大正、昭和を駆け抜けた2人のプラトニックなロマンスにも胸が高鳴る。明治33年、神戸で丁稚奉公する利一は花街の少女ハナと出会う。時代の流れを読み、将来性のある石けんや化粧品の世界へと一世一代の賭けに出る利一。2人は立場の違いから恋心はそっと胸にしまい、友人として支え合うが、世界を巻き込む戦争ですべてが変わってゆく。膨大な資料と向き合い、粘り強い取材を重ねた高殿の筆は、開国で一気に経済が発展した港町神戸の活気と、花街のしきたりを臨場感たっぷりに伝える。壁にぶつかっても回り道を探して突き進む、パワフルな利一に励まされるエンターテインメント小説。