デモクラシーのいろは【電子版おまけ付き】
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- ¥2,400
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発行者による作品情報
東京・下落合、戦火を逃れた邸宅に集められた4人の女性。
GHQの一声で、彼女たちの人生を変えるハチャメチャな同居生活が始まった。
1946年11月、日本民主化政策の成果を焦るGHQがはじめた “民主主義のレッスン”。いやいや教師役を引き受けた日系2世のリュウ、地位と邸宅を守るためこの実験に協力した仁藤子爵夫人、生徒として選ばれた個性豊かな4人の女性――それぞれの思惑が交錯する中、風変わりな授業が幕を開ける。希望と不安、そして企み……。波乱の展開が感情を揺さぶる、今年一番の超大作!
【電子版おまけ】
手書きメッセージ
APPLE BOOKSのレビュー
戦後80年の節目に、民主主義の本質を考えさせる力作。戦火を免れた華族の屋敷に集められた4人の女性が、GHQの主導する民主化教育の実証実験の被験者となる。異なるキャリアを歩んできた女性たちが、日系2世の青年のレッスンを受ける中、既存の価値観とぶつかりながら徐々に個性を明らかにしていく。さらに、先進的なようで保守的な華族夫人の横やり、GHQの思惑などが絡み“民主主義のレッスン”はあらぬ方向に進んでいく。個性的な登場人物たちの軽妙なやりとりは、閉鎖的な空間で人数が少ないこともあり舞台劇を見ているよう。そして、そもそも自由をうたいながら「民主主義を教える」という上から目線と、日本人に根強く残る男尊女卑や身分格差の矛盾も風刺。多様性が叫ばれる現代において、戦後日本が歩んできた道がどれほど本来の民主主義に近づいているのかも問いかける。重厚なテーマでありながらシニカルでウィットにあふれる文体は読みやすい。電子版には著者の手書きメッセージも添えられ、作品全体の厳しくも優しい空気感を醸し出している。