ナースの卯月に視えるもの
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4.0 • 22件の評価
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発行者による作品情報
新川帆立大絶賛! 創作大賞2023(note主催)「別冊文藝春秋賞」受賞作
「号泣しました。様々な痛みを抱えて生きる人々を、そっと包み込んで肯定してくれる優しい作品です。」――新川帆立(作家)
★感涙必至のお仕事ミステリーが誕生!★
~元看護師の著者が送る、命の物語~
完治の望めない人々が集う長期療養型病棟に務める看護師・卯月咲笑。ある日、意識不明の男性のベッド脇に見知らぬ女の子の姿が。それは卯月だけに視える患者の「思い残し」だった――。彼らの心残りを解きほぐし、より良い看護を目指したいと奔走する日々が始まった。ナースが起こす小さな奇跡に心温まるお仕事ミステリー。
APPLE BOOKSのレビュー
長期療養型病棟を舞台に、患者の「思い残しているもの」が見える看護師を中心に繰り広げられる優しいミステリー『ナースの卯月に視えるもの』。卯月は療養に特化した病棟で働き始めて5年目の看護師。意識のない患者や、人生の最期を過ごす患者の多いこの科で、少しでも彼らが心地よく過ごせるように日々努めている。ある時から彼女は、周りの人には見えない患者の「思い残し」が見えるようになった。10歳くらいの女の子、お金を握りしめた怖い顔の女性、不安そうな若い男性…。それは透けていて、ただ存在しているだけ。患者の死が近い時に現れる「それ」は、解消してあげれば消える。そうすれば安らかに闘病できることを知った卯月は人知れず「思い残し」の解決を行っていた。卯月が出会う患者の「思い残し」との物語を章ごとにつづり、なぜ卯月には見えるようになったのかを、彼女の心の奥にある深い悲しみのストーリーと共に解き明かしていく。生と死の境目で働く看護師たちの心の機微も深く描かれており、元看護師として、患者に向き合い、患者の最期をみとってきた作者だからこその、リアルな温度感のある作品。