バスに集う人々(3)
-
- ¥670
-
- ¥670
発行者による作品情報
バスに乗り、小さな旅を重ねる。そこには出会いと別れ、謎や事件がある。解決するのは家で待つ麗しき元刑事の妻。最大の謎に挑む
APPLE BOOKSのレビュー
シルバーパスを利用して都バスに乗り、東京を巡る小さな旅を楽しむ元刑事、炭野のトラベルミステリー『バスを待つ男』、路線バス旅のコーディネーターが主人公となり、炭野と出会う続編『バスへ誘う男』、そしてシリーズ第3弾となる今作は、彼らの周りの人々が主人公。さまざまな登場人物がバスの旅を縦横無尽に楽しむ中で、日常や旅中で遭遇した謎を炭野、そしてどんな謎もふわりと解決してくれる彼の妻、炭野まふるに相談し、謎が安楽椅子探偵的に解き明かされていく群像劇だ。今回の舞台は東京だけでなく、全国区のバス旅へと広がった。物語は、新宿通りを走り抜ける都営バス「品97」系統の行き先、品川周辺にある落語『芝浜』の舞台から始まり、北は津軽、そして南は博多まで。バスの車窓から流れていく景色、そしてバス停で降りた先の街や旅先の風景がありありと目に浮かんでくるような描写で、読者も旅気分を味わえる。物語の随所に出てくる料理と酒の組み合わせがまた乙なポイント。バス旅を楽しみながら、ミステリーも楽しめる一石二鳥な作品だ。