ファイト・クラブ〔新版〕
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4.2 • 12件の評価
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- ¥950
発行者による作品情報
おれを力いっぱい殴ってくれ、とタイラーは言った。事の始まりはぼくの慢性不眠症だ。ちっぽけな仕事と欲しくもない家具の収集に人生を奪われかけていたからだ。ぼくらはファイト・クラブで体を殴り合い、命の痛みを確かめる。タイラーは社会に倦んだ男たちを集め、全米に広がる組織はやがて巨大な騒乱計画へと驀進する――人が生きることの病いを高らかに哄笑し、アメリカ中を熱狂させた二十世紀最強のカルト・ロマンス。デヴィッド・フィンチャー監督×ブラッド・ピット&エドワード・ノートン主演の映画化以後、創作の原点を著者パラニューク自らが明かしたあとがきと、アメリカ文学研究者・都甲幸治氏の解説を新規収録。
APPLE BOOKSのレビュー
アメリカ現代文学を代表するアウトロー作家、チャック・パラニュークによる『ファイト・クラブ』。1999年にはブラッド・ピットとエドワード・ノートンのW主演映画も大ヒットし、若者から支持されるカルト小説となった。会社の不正に口をつぐみ、消費社会にぬくぬくと浸る名もなき高給取りの「ぼく」。マッチョで風変わりなタイラーと出会ったことから、素手で戦うファイト・クラブを結成する。慢性不眠症に苦しんでいた「ぼく」だったが、肉体の痛みと死に近づくことで生きる実感と男らしさに覚醒。無軌道なタイラーと共同生活を送るうちに会社に背を向け、刺激的な新生活にのめり込む。やがて、タイラーは強さに憧れる男たちを組織し、騒乱プロジェクトという名の破壊活動を指揮する。貧困者向けのホスピスでボランティア活動をしていたパラニュークの経験が本作の源泉と明かす解説は、単に過激さを売りにした不穏な小説ではないと気づかせてくれる。