悪童日記
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- ¥720
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発行者による作品情報
戦火の中で彼らはしたたかに生き抜いた――大都会から国境ぞいの田舎のおばあちゃんの家に疎開した双子の天才少年。人間の醜さ、哀しさ、世の不条理――非情な現実に出あうたびに、彼らはそれをノートに克明に記す。独創的な手法と衝撃的な内容で全世界に感動と絶賛の嵐を巻き起した女性亡命作家のデビュー作。
APPLE BOOKSのレビュー
ハンガリー動乱の最中、1956年に幼い娘と共に西側に脱出した女性作家の処女作にして傑作。「大きな町」から国境付近の「小さな町」へと疎開し、地元で「魔女」と呼ばれ人々から嫌われる祖母のもとで暮らすことになった9歳の双子が、戦時の混乱と貧困の中、盗みや恐喝、暴力など悪事を働きながら生きるための知恵を身につけ、過酷な環境下で生き抜いていくさまが、生々しい筆致で描かれていく。戦争によって生み出される負の連鎖や、暴力がもたらす悲惨さが物語のテーマではあるが、弱者に哀れみをかける双子たちの暖かい心、時折垣間見せる祖母の愛情、拙い言葉からこぼれ落ちる従卒の心遣いなど、不条理な現実を受け入れながら共生を続けようとする人間の本質が、彼らの言動から現れている。また具体的な地名や時代、主人公の双子の名前や互いの感情、性格の違いなどを伏せ、淡々と出来事を綴っていく叙述によって靄がかかったような空気感が醸し出され、衝撃のエンディングまで読み手の興味を失わせることがない。