フロイト (Century Books―人と思想)
-
- ¥1,000
-
- ¥1,000
発行者による作品情報
「人と思想」は、世界の思想家の生涯とその思想を、当時の社会的背景にふれながら、立体的に解明した思想の入門書です。思想家の生涯を交友関係や、エピソードなどにもふれて、興味深く克明に記述、その主要著書を選択して、概説とその中心となる思想を、わかりやすく紹介してあります。平易な記述と生き生きとした表現を心がけ、新鮮な印象が残るように努めました。一般の方々のハンディな教養書として、また学生・生徒の参考読物として、広く本書をおすすめします。
【Century Books】人と思想 24 フロイト
8歳でシェイクスピアを読み、17歳で高等学校(シュペール- ギムナジウム)を首席で卒業するというように、ジグムント=フロイトは幼いころからその天分をきらめかせていた。しかし、学問上かれを有名にするような業績が真に実現されたのは、むしろ中年をすぎてからであった。これは、天才の生涯としては、めずらしいことである。しかも、かれのいわゆる「性的」な理論は、当時の社会から手きびしい反撃を受けた。そのうえ、かれがユダヤ人であったことは、その生涯をいっそう苦難に満ちたものにした。ナチスに故郷を追われ、異郷の地ロンドンでその生涯を閉じたのも、そのためであった。このような苦闘の生涯を通じてつねにかれをよく理解し暖かく包んでくれたのは、妻のマルタ=ベルナイスと娘のアンナであった。