マトリョーシカ・ブラッド
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- ¥880
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発行者による作品情報
『スワン』(日本推理作家協会賞長篇受賞作 第41回吉川英治文学賞新人賞受賞、直木賞候作作)、 『おれたちのうたを歌え』(直木賞候補作)など、一筋縄でくくれないエンタテイメント作品の書き手・呉勝浩の放つ警察小説。
神奈川県警と警視庁のはぐれ刑事たちが手を組んでせまる“巨悪の闇”とは!
”謎解きと人間ドラマが交差する骨太警察小説!”
文芸評論家・縄田一男氏が絶賛!
陣馬山で発見された白骨死体の傍らにはマトリョーシカが埋められていた。被害者は5年前、行方不明とされていた男だった。
神奈川県警刑事・彦坂は、青ざめる。その男こそ、5年前、組織ぐるみで隠蔽した事件の関係者だったのだ。
県警に激震が走るさなか、八王子で、第二の惨殺死体が発見される。現場には第一の事件との関連性を示すマトリョーシカが残されていた。
事件そのものを隠したい神奈川県警と、反目し合う警視庁の捜査班。
組織の論理がもたらす闇に、はぐれ刑事たちが誇りをかけて、合同捜査を始める。
異色の警察小説!
APPLE BOOKSのレビュー
『道徳の時間』で江戸川乱歩賞を受賞しデビューした呉勝浩による書き下ろし小説『マトリョーシカ・ブラッド』。山中で血のついたマトリョーシカと一緒に発見された白骨遺体が、失踪した医師だと判明する。主人公である神奈川県警の部長刑事・彦坂誠一らがこの事件の解決に動き出すと、5年前の禁断の事件との関連が浮き彫りになっていく。警察組織の思惑と、捜査に収まりきれず奔走する刑事たちが複層的に描かれるなか、事件と関わりのあった彦坂の、後悔と使命感が入り混じった複雑な心情など、登場人物それぞれの内側に秘めた思いが徐々に明らかに。新薬による死亡事件、大手病院と製薬会社および省庁の癒着疑惑、刑事同士の軋轢など複数の要素を盛り込みながら、疑問が疑問を呼ぶ飽きさせない展開で読者を謎解きの世界に引き込んでいく。組織と個人の有り様や人間の多面性を実感できる、読み応え十分の長編社会派ミステリー。