一九八四年[新訳版]
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- ¥950
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発行者による作品情報
〈ビッグ・ブラザー〉率いる党が支配する超全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは、真理省記録局で歴史の改竄に従事していた。彼は奔放な美女ジュリアとの出会いを契機に、伝説的な裏切り者による反政府地下活動に惹かれるようになる。
APPLE BOOKSのレビュー
1949年に刊行され、全体主義に陥った悪夢のような近未来を描くディストピア小説として、後世に多大な影響を及ぼしたジョージ・オーウェルの歴史的な傑作。時は1984年。世界はオセアニア、ユーラシア、イースタニアの3国に分割統治されているが、戦争が絶えることはない。ビッグ・ブラザー率いる一党独裁体制のオセアニアでは、テレスクリーンと呼ばれる双方向のモニターが至る所に設置され、プロパガンダを垂れ流すと同時に人々の言動は常に監視されており、反政府と見なされれば逮捕と拷問が待っている。都合の悪い事実を消し、歴史を改竄(かいざん)する真理省に属しながら、密かに政府に疑問を抱くウィンストンは、思考犯罪の危険を冒して日記を書き、恋に落ちた女性のジュリアとともに反政府活動に参加する覚悟を決めるが…。事実を書き換え、言葉を単純化する政府。オーウェルが描いた未来の鋭いビジョンは21世紀になっても全く古びることなく、現代の私たちに訴えかける。ブラックコメディのように戯画化された前半と、後半の血も凍る壮絶な描写とのコントラストも強烈。本編とは別に「ニュースピークの諸原理」なる解説文が巻末に付記されており、異なる未来を暗示させるメタな構成も秀逸。
カスタマーレビュー
現代に読むにはリアル過ぎる
感情的、抒情的な意味でなく「悲しい」物語。現代にこそ必要な情報だと思い読んだが、ディストピアぶりが半端ない。
支配層が言葉を多義的に操り出し、嘘や過ちを認めなくなった時は非常に危ういのだ。いまの日本が、この方向に歩んでいないと誰が断言できるだろうか。
支配とは、権力とは、かくも甘美であり、同時に破滅的なのである。