人間小唄
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- ¥660
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発行者による作品情報
小角が書き送った短歌を自分の文章に無断で引用した作家・糺田両奴。国民の無意識に影響を及ぼして駄目にする奴の文学を根底から破壊する! こちらの世界に拉致してきた糺田に課した難題は、「一、短歌を作る。二、ラーメンと餃子の店を開店し人気店にする。三、暗殺」。それは魂のテロルの始まりだった。(講談社文庫)
APPLE BOOKSのレビュー
理不尽な試練を与えられた小説家の悲喜劇を描いた書き下ろし長編小説。世間に混乱を招く文学を根絶しようとする男に無理難題を押しつけられ、不条理な世界でもがく小説家の姿を、パンクロックな精神とシュールな作風で知られる芥川賞作家、町田康が唯一無二の筆致でつづる。締め切りに追われる作家の糺田両奴は、小角から送られてきた短歌を無断で引用した。しかしそれは小角の罠だった。国民を劣化させる糺田の文学を根底から破壊しようと、小角は新未無と共に糺田を拉致。短歌を作る、ラーメンと餃子の店を開店し人気店にする、暗殺、という3つの難題を課し、絶対に抜け出せない場所に監禁する。糺田は小角と未無に監視されながら無謀な挑戦を始めるが…。時に暴力的でありながら、どことなくユーモラス。パンクロック歌手として活躍し、上方落語や浪曲などに親しんできた著者ならではの、ハチャメチャでリズミカルな「町田節」が、ナンセンスな物語を予想もつかない結末へと疾走させる。奔放なイマジネーションが爆発するエネルギッシュな小説。