ギケイキ 千年の流転
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4.8 • 5件の評価
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- ¥800
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発行者による作品情報
はは、生まれた瞬間からの逃亡、流浪――千年の時を超え、現代に生きる源義経が、自らの物語を語り出す。古典『義経記』が超絶文体で甦る、激烈に滑稽で悲痛な超娯楽大作小説、ここに開幕。
APPLE BOOKSのレビュー
室町時代に記された源義経の波瀾に満ちた一代記「義経記」を、町田康がまったく新しい形で現代によみがえらせた「ギケイキ」シリーズ1作目。千年の時を超え、現代に存在する義経の魂が、自分史を悲喜劇にして語るという設定は、日本の古典文学の難解なイメージを完全に覆す。物語は、誕生と共に逃亡、流浪を強いられた私(義経)の幼少期から始まる。打倒平家を胸に、生まれ持ったカリスマ性を存分に見せつけながら天才軍人としてその名を馳せるまでの兵術修行の日々。後に臣下となる武蔵坊弁慶の衝撃の生い立ちから、清水寺での2人の出会い。そして兄、源頼朝への思い…。過去と現代の言葉を織り交ぜ、時にネット用語や若者言葉を用いるなど、奇抜でエキセントリックな口語文体で語る彼らの言葉や細かな心情は、日本史の教科書に連なる登場人物が身近に感じられ、生きた人間の躍動を感じられる。