テミスの剣
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- ¥750
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発行者による作品情報
ドンデン返しの帝王、渾身の大作!
若手時代に逮捕した男は無実だったのか?
鳴海刑事は孤独な捜査を始めたが…社会派ミステリーに驚愕の真実を仕掛けた傑作。
豪雨の夜の不動産業者殺し。
強引な取調べで自白した青年は死刑判決を受け、自殺を遂げた。
だが5年後、刑事・渡瀬は真犯人がいたことを知る。
隠蔽を図る警察組織の妨害の中、渡瀬はひとり事件を追うが、
最後に待ち受ける真相は予想を超えるものだった!
どんでん返しの帝王が司法の闇に挑む渾身のミステリ。
解説・谷原章介
APPLE BOOKSのレビュー
“どんでん返しの帝王”の異名を持つ中山七里が冤罪をテーマに仕掛ける社会派ミステリー。昭和59年の豪雨の夜、不動産業者の夫婦が殺される。浦和署の若手刑事の渡瀬は、暴力も辞さない強引な取り調べを行う先輩刑事、鳴海のやり方に違和感を覚えながらも容疑者の青年を自白に追い込んだ。しかし、裁判で無罪を主張した青年は死刑確定後に獄中で自殺してしまう。事件から5年後、同種の手口から真犯人の可能性に気づいた渡瀬は、警察組織に逆らって冤罪というパンドラの箱を開けるが、それから23年後の平成24年、またも事件は動き出す。「テミスの剣」とは、ギリシャ神話の法の女神テミスが右手に持つ力の象徴で、左手には正義をつかさどるはかりを持っている。神に代わって人は人を裁けるのか? というシリアスな問いかけ、捜査の予断が冤罪を生む過程の容赦なき描写、保身に走る警察組織の醜悪さとそれにあらがう渡瀬の苦悩など、社会派ミステリーとしての読みどころも満載。そして、30年近い年月を経て驚愕の真相に至る本格ミステリーの技巧も見事。登場人物が著者の他作品とリンクする趣向も面白い。感情と論理がせめぎ合う傑作。