余命10年
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- ¥540
発行者による作品情報
第6回静岡書店大賞 映像化したい文庫部門 大賞受賞作
20歳の茉莉は、数万人に一人という不治の病にかかり、余命が10年であることを知る。笑顔でいなければ周りが追いつめられる。何かをはじめても志半ばで諦めなくてはならない。未来に対する諦めから死への恐怖は薄れ、淡々とした日々を過ごしていく。そして、何となくはじめた趣味に情熱を注ぎ、恋はしないと心に決める茉莉だったが……。涙よりせつないラブストーリー。
カバーイラスト・loundraw
APPLE BOOKSのレビュー
難病を発症し、10年という余命を宣告された女性を描いたヒューマンラブストーリー。短大生の高林茉莉は難病を患い、わずか20歳の身で余命10年の宣告を受けてしまう。周囲の人々を安心させるために明るく振る舞い、生への執着をなくすために恋愛も諦めた茉莉だったが、先に見送った入院先でできた友だちの言葉を胸に、ある行動を起こしていく。物語の中で彼女の病名は明かされないが、切ない恋愛小説であり、難病をテーマにしているこの物語の特別な点は、作者の小坂流加本人もおそらく同じ病気で逝去しているという事実だ。そのせいか、茉莉の心理描写は生々しい。余命宣告を受けた当初は歳を取るのも嫌だしと、若くして死に至る自分に恍惚(こうこつ)とした思いすら抱くが、病魔の進行とともに死を恐れるようになる。それでも自分の役割を意識して、その恐怖と病状を悟られないように努めるのだ。また、これは自分の居場所をどう作っていくか、そして避けられない死をどう受け入れていくのかという、一人の女性の生きる姿を問う物語でもある。小坂本人が生きた証でもある本書は「死ぬ準備はできた。だからあとは精一杯、生きてみるよ」というモノローグとともに読者の胸に刻み込まれるだろう。
カスタマーレビュー
とてもいい本です。
死にたいと思ったことがある人は読むといいと思います。
身近な人を実際に亡くした経験があるとやはりグッときます。主人公の優しくありながらも強い意志が感動的でした。
生き方かーー
感動しましたけど、余韻がないですよね