別冊文藝春秋 電子版37号 (2021年5月号)
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発行者による作品情報
◆連載スタート◆
・有栖川有栖「捜査線上の夕映(ば)え」
コロナ禍で一変した日常。暫くご無沙汰だったフィールドワークへのお誘い――難事件の予兆にアリスと火村、二人の心はざわめく。待望の火村英生シリーズ、新章開幕!
[はじまりのことば]
書きあぐねる私をそっと導いてくれたある“夕景”。どこかノスタルジックなその風景が、この物語を生み落とした
・一穂ミチ「光のとこにいてね」
あの日、うらぶれた団地で出会った結珠(ゆず)と果遠(かのん)。全く違う境遇にありながら、同じ孤独を抱える二人の少女は強く惹かれ合う。いま最注目の作家が問いかける家族、そして愛
[はじまりのことば]
迷ってばかりの私がようやく見つけた物語の萌芽、それは二人の少女。彼女たちと共に私は迷い、この物語を紡ぐ
・木下昌輝「孤剣の涯て」
戦の時代が終わると、家康は「呪い」によってひとの心を操り、世を統べた。その呪縛からいかにして逃れるのか。男たちは背負った業を断ち切るため、剣を振るう
[はじまりのことば]
今も昔も、為政者は「呪い」を利用し民を支配してきた。宮本武蔵の目を通し、時代の犠牲者たちを見つめたかった
◆ロングエッセイ&グラビア◆
・門井慶喜、書斎を建てる
[エッセイ]+[グラビア]ヴォーリズ建築で生まれた夢の書斎、そのすべて
「近代建築の中で暮らしてみたい」そんな思いが結実し、昨年暮れに竣工した前代未聞の書斎。令和の世に、近代建築を出現せしめた作家の夢と、日々の暮らしに迫る
◆インタビュー◆
作家の書き出し Vol.12 取材・構成 瀧井朝世
・佐藤究「手段を選ばない社会が行き着く先は? 資本主義のダークサイドに真っ向から挑んだ、超弩級のクライムノベル」
◆連載小説◆
・朝倉かすみ「よむよむかたる」
会長の合図で、スッと背筋を伸ばした老人たち
・武田綾乃「世界が青くなったら」
亮のことは忘れろというミツル。あなたは何を知っているの?
・島本理生「星のように離れて雨のように散った」
わかっていたのだ。恋愛がすべてを解決しないことなんて
・長浦京「アキレウスの背中」
レース当日、悠宇のもとに続々と緊急連絡が入り始める
・藤井太洋「オーグメンテッド・スカイ」
同級生が寮のサイトにウイルスを仕込んだと、マモルのもとに一報が入る
・相場英雄「マンモスの抜け殻」
四〇年前の悪夢が、いまなお環と尚人を苦しめていた
・伊東潤「夜叉の都」
実朝が弑(しい)され、後鳥羽院は幕府への不信感を募らせていく
・澤村伊智「邪教の子」
祐仁の不審な死を探るうち、矢口はついに教団の最深部にたどり着く
・真藤順丈「ものがたりの賊(やから)」
地震・テロ・疫病、すべてを操る黒幕がついに正体を現す
◆短篇◆
・彩瀬まる「月がふたつ」
娘を遺して死ぬことになる――その予感に苦しむ茅乃は
・寺地はるな「タイムマシンに乗れないぼくたち」
少年は博物館で、一風変わった男と出逢う
◆エッセイ◆
[Iの告白]
白尾悠「『サード・キッチン』怒りのデス・ロード」
[Xの余白]
榊林銘「ダイイング・メッセージとろくろ首」