勿忘草の咲く町で 安曇野診療記
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4.3 • 12件の評価
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発行者による作品情報
月岡美琴は、松本市郊外にある梓川病院に勤めて3年目の看護師。風変わりな研修医・桂勝太郎と共に、膵癌を患い、妻子を遺して亡くなった長坂さんを看取り、誤嚥性肺炎で入院中だが「生大根の子糠漬けなら食べられる」という88歳の新村さんのために沢庵を切る(「秋海棠の咲く頃に」))。秋、循環器内科での研修が始まった桂は、肺炎の疑いで緊急搬送された92歳の女性に3時間延命する処置を下す。その判断は老人の延命治療に懐疑的な通称”死神”こと谷崎医師の教えに反していたが、それは連絡を受けた孫が駆けつけるまでの所要時間だった(「ダリア・ダイアリー」)。”口から物が食べられなくなったら、それが人間の寿命である。その常識を変えた夢の医療器具「胃瘻」”の登場、「できることは全部やってほしい」という患者の家族など、地域医療ならではの患者との関わり合いを通じて、月岡と桂は、老人医療とは何か、生きることと死んでいることの差はどこにあるのか、悩みながら進み続ける。
カスタマーレビュー
あなやねらるね
、
絶対に読んでほしい
スピノザの診察室を読み、感銘を受け、神様のカルテを読み終え、こちらに辿り着きました。高齢者医療と聞いて、なんとなく面白みはなさそうだなんて考えていましたが、生きていく上で大切なことをこの本は教えてくれたと思います。生と死というテーマは途方もなく、考えることなんて面倒だなんて思っていたのに、考えさせられ、結果良い機会を与えてくれる本だったと思います。
また、やっぱり夏川先生のかく文章は、活字が苦手でも読みやすく、頭に情景が浮かびやすく、没入しやすいです。
ぜひ、医療の本なんて難しそう、なんて思っている方がいたら、少しだけ読んでみてください。
きっと読む手が止まらなくなります。