原子力船「むつ」の悲劇
科学立国の夢と漂流50日
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発行者による作品情報
「科学技術立国・日本」の象徴として華々しく進水した原子力船「むつ」。しかし、その運命は太平洋上での放射能漏れ事故によって暗転する。わずか1.4%の出力で鳴り響いた警報音。世界最先端の原子炉の緊急補修に使われたのは、なんと「靴下」と「握り飯」だった。
帰港を拒否され、食料も燃料も尽きかける中、太平洋を50日間さまよい続けた「現代の幽霊船」。閉鎖空間で精神的に追い詰められていく乗組員たちの孤独と、陸上で繰り広げられる政治と利権の醜い争い。なぜ夢の船は、日本中から忌み嫌われる存在となったのか?
本書は、技術への過信と社会との断絶が招いた悲劇の全貌を描く、衝撃のノンフィクション・ドラマである。漂流の果てに彼らが見た景色とは何だったのか。そして、数奇な運命を辿った船が現代に問いかけるものとは。昭和の科学史に深く刻まれた、知られざる「敗北」と「再生」の記録がここにある。