名探偵のままでいて
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- ¥880
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発行者による作品情報
シリーズ累計20万部突破
第21回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作
「密室殺人」「人間消失」「幽霊騒動」…
孫娘の持ち込むさまざまな謎を「認知症の祖父」が鮮やかに解き明かす!
ミステリーの扉の先には、わくわくする謎と、
個性的な登場人物たちの愛が詰まっていました。
主人公の楓は私と同じ27歳。
物知りで優しくて大好きだったおじいちゃんに
会いたくなって胸がいっぱいになりました。
――井桁弘恵さん(モデル・女優)
(あらすじ)
かつて小学校の校長だった切れ者の祖父は現在、幻視や記憶障害といった症状が現れるレビー小体型認知症を患い、介護を受けながら暮らしていた。しかし、孫娘の楓が身の回りで生じた謎について話して聞かせると、祖父の知性は生き生きと働きを取り戻す。そんな祖父のもとへ相談を持ち込む楓だったが、やがて自らの人生に関わる重大な事件が……。古典作品が彩る安楽椅子探偵ミステリー!
【著者について】
小西マサテル
1965年生まれ。香川県高松市出身、東京都在住。明治大学在学中より放送作家として活躍。現在、『ナインティナインのオールナイトニッポン』『徳光和夫 とくモリ!歌謡サタデー』『笑福亭鶴光のオールナイトニッポン.TV@J:COM』『明石家さんま オールニッポン お願い!リクエスト』や単独ライブ『南原清隆のつれづれ発表会』などのメイン構成を担当。
本作で第21回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞。他の著書に『名探偵じゃなくても』(宝島社)など。
APPLE BOOKSのレビュー
認知症の祖父が孫娘と共に安楽椅子探偵として鮮やかな推理を繰り広げる連作ミステリー『名探偵のままでいて』。孫娘の祖父への思いがぎゅっと詰まったタイトルに、読後、なぜだか涙がこぼれそうになる。小学校の教師をしている楓には、誰よりも隣にいたい、話をしていたいと思う祖父がいる。東京都目黒区碑文谷の古い一軒家に住む彼は、聡明で、読書好きで、たくさんの物語や世界を楓に見せてくれた温かな祖父であり、楓にとって唯一の家族であった。半年前からレビー小体型認知症を患い、幻視が見えるようになってしまった祖父。しかし、楓の周りで起こった事件や謎を相談しにいくと、昔の祖父に戻り、生き生きと推理を披露してくれるのだ。文脈に織り込まれる古典ミステリー作品へのリスペクトとオマージュ、情景描写の言葉のセンス、楓の同僚岩田とその後輩、四季との会話劇、そして楓と祖父の間に流れる穏やかで優しい空気。たくさんの要素が愛おしく、作品に吸い込まれてしまう。一つ一つの事件には時にぞわりとさせられるが、こんなにも温かな余韻が残るミステリーは初めてかもしれない。