大名倒産 上
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4.0 • 20件の評価
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発行者による作品情報
〈大ショックの若殿vs.逃げ切りを目指す先代〉
天下泰平260年の間に、積もり積もった藩の借金はなんと25万両!
この世のものとは思えぬ巨額の負債を知った嫡男はショックで急死してしまった。
丹生山松平家12代当主は、次男三男を飛び越えて
庶子の四男・小四郎に家督を継がせて隠居すると、
ひそかに「大名倒産」の準備を進め、逃げ切りを狙う。
何も知らずに大名家の家督を継いでしまった
21歳の小四郎は、クソがつくほどの真面目さ誠実さを武器に
最大の難関・参勤交代の費用をひねり出そうと必死に奮闘するが……。
万策尽きた時、人の世を眺めていた七福神たちが動き出す!?
笑いと涙がてんこ盛りの超豪華エンターテインメント。
2023年、映画化決定!
※この電子書籍は2019年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
APPLE BOOKSのレビュー
雑誌連載から書籍化され、2023年に映画化となった、笑って泣ける痛快娯楽時代劇。庶子でありながら小藩の大名家を相続することになった主人公。実は父である先代藩主が、計画倒産によって莫大(ばくだい)な借金を踏み倒し、その責任を負わせるために仕組んだことだった。そうとも知らず、家臣のため民のため、借金返済の経済改革に悪戦苦闘する主人公の名君ぶりが熱く、経済エンターテインメントとしても秀逸。江戸時代後期という、大名制度が衰退し始めた時代を背景に、登場人物たちの思惑が入り乱れドタバタ劇が展開。コメディタッチでありながら、浅田次郎ならではの人物描写、政治や社会背景への言及によって、当時の世界観とそこで生きる人々が我が身のごとく身近に感じられ、作品世界に没入できる。著者が書きたかった「大名もまた一人の人間である」というテーマに真正面から取り組んだ本作。まるで講談でも聞いているかのような軽妙な筆致で、読後感もすがすがしい。