



蒼穹の昴(1)
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4.0 • 68件の評価
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- ¥800
発行者による作品情報
汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう――中国清朝末期、貧しき糞拾いの少年・春児は、占い師の予言を信じ、科挙の試験を受ける幼なじみの兄貴分・文秀に従って都へ上った。都で袂を分かち、それぞれの志を胸に歩み始めた二人を待ち受ける宿命の覇道。万人の魂をうつベストセラー大作!
APPLE BOOKSのレビュー
浅田次郎の「蒼穹の昴(1)」。人情小説からピカレスク、ミステリー、コメディーと幅広いジャンルで創作を続ける著者が中国の清朝末期を舞台に描いた長編歴史小説。広い土地を所有する地主の次男・梁文秀と、貧しい家に生まれ春児と呼ばれた李春雲は数奇な運命に導かれ、大きな時代のうねりに巻き込まれていく。生まれ育った環境が異なる2人は、文秀と春児の兄が義兄弟の契りを交わしていた縁から親しく口をきいていたが、やがて官僚登用試験である科挙をきっかけに2人は別々の道を行くことに。清朝最盛期の栄華を極めた乾隆帝や清朝末期に権勢をふるった西太后など実在の人物を登場させ、厳しい試験の様子や人々の暮らしを詳しく語ることで物語に現実感を持たせている。登場人物の想いの深遠を丁寧に描き出し、読み手の胸の奥底をゆさぶって涙を誘う筆致は著者ならではの手腕だ。科挙をトップ成績で通過しエリート官僚へと歩き出した文秀と、貧しさから脱却するために自ら道を切り開いていこうとする春児の行く手がどのように交差していくのか、大いなる期待に満ちた序章。