小説十八史略(一)
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発行者による作品情報
夏に先だつ幾千年、中国中原に君臨した神々。時代は下り、やがて殷へ。暴君紂王を倒して次なる世界を開いたのは、周だった。その周も大動乱をへて、秦に統一される。――英雄は激動の時代に生まれる。大陸も狭しと濶歩したあまたの梟雄豪傑たち、そして美姫。その確執葛藤の織りなす人間模様を活写。<全6巻>
APPLE BOOKSのレビュー
小説仕立てで中国の歴史を巡る『小説十八史略(一)』。宋の時代、それまでに正史として伝えられた18の史書をまとめたのが「十八史略」。それを、中国の古典や歴史書を再編してきた著者が、新たな視点を加えて再構築する。歴史書とはいえ冒頭は神話の時代であり、著者自身も扱いに苦慮しているが、たとえ伝承であっても正史に残そうとしてきたからこそ、現代まで歴史が伝えられてきたともいえる。そして、十八史略に登場するそれぞれの人物のエピソードが魅力的で、淡々と歴史を追うのではなく、読み物としても楽しむことができる。1巻では神話時代から殷周易姓革命を経て春秋戦国時代、そして秦始皇帝による中華統一までが描かれる。時代ごとにそれぞれ主人公は違うものの、英雄豪傑から政治家や文人、権力に翻弄(ほんろう)される美姫たちまで、彼らが時代の中で果たした役割や人間的な魅力にも迫る群像劇となっている。小説となったことで歴史が苦手な人にも読みやすい。そして、広大な中国の人材の豊富さには改めて驚かされる。