



女刑事音道貴子 凍える牙
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4.1 • 23件の評価
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- ¥850
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発行者による作品情報
深夜のファミリーレストランで突如、男の身体が炎上した! 遺体には獣の咬傷が残されており、警視庁機動捜査隊の音道貴子は相棒の中年デカ・滝沢と捜査にあたる。やがて、同じ獣による咬殺事件が続発。この異常な事件を引き起こしている怨念は何なのか? 野獣との対決の時が次第に近づいていた――。女性刑事の孤独な闘いが読者の圧倒的共感を集めた直木賞受賞の超ベストセラー。
APPLE BOOKSのレビュー
第115回(1996年上半期)直木賞受賞作。立川のファミリーレストランで深夜に発生した大規模火災。火元は突然燃え始めた一人の男性客だとの証言が寄せられ、他殺の線が濃厚なことから、特別捜査本部が立ち上げられる。警視庁刑事部第三機動捜査隊に所属する音道貴子は、所轄署の刑事、滝沢とペアを組み捜査するが、超男性主義社会の警察の中でも特に女性嫌いの滝沢は、貴子にきつく当たる。手掛かりの少なさから一度は行き詰まったと思われた捜査だが、天王洲で野犬の仕業と見られる死亡事故が発生。被害者の遺体に残された歯牙痕と立川の被害者の遺体に残されていた歯牙痕が類似しており、大型の犬か、オオカミによるものだという鑑識結果が出る。両被害者の間につながりが認められれば事件解決への突破口になると考えた貴子たちは、オオカミを追い始める。捜査本部で唯一の女性刑事である貴子に、女という事実だけで向けられる周囲の男たちからの理不尽で冷たい目線。そんな中、貴子は心を許せず、気も抜けず、孤独な戦いを強いられる。『女刑事音道貴子』シリーズの記念すべき第1作目。ミステリーとしてはもちろん、貴子と滝沢の巧みな心理描写にうならされる。