廃墟に乞う
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3.5 • 34件の評価
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- ¥660
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発行者による作品情報
仙道孝司は北海道警・捜査一課の敏腕刑事だったが、任務がもとで罹ったPTSDのため、休職を命じられている。ようやく回復してきた頃、かつて札幌で起きた殺人事件と同じ手口で、千葉でデリヘル嬢が殺された。これは13年前のあいつの犯行か? その矢先に犯人から接触された仙道は、旧炭鉱町へ向かう(表題作)。リゾート村、札幌の倉庫、競走馬生産牧場…を舞台に、警察手帳も銃も持たない休職刑事が事件に新たな光と闇を見出す、連作警察小説。直木賞受賞作。
APPLE BOOKSのレビュー
第142回(2009年下半期)直木賞受賞作。PTSDで休職中の敏腕刑事、仙道を主役に据え、北海道の各地で起きた事件を描く6編を収録した連作短編集。海外からの投資があつれきを呼ぶスキーリゾート地で、オーストラリア人実業家が日本人女性殺害を疑われる「オージー好みの村」、13年前と同様の手口で娼婦を殺し、生まれ故郷に逃走した犯人と仙道の再会を描く「廃墟に乞う」、漁師町で起きた漁師同士の単純な殺傷事件の裏を探る「兄の想い」、死亡した連続拉致暴行犯に殺された娘の遺体の捜索を父親から頼まれる「消えた娘」、競走馬生産牧場の強権的なオーナーの殺害を追う「博労沢の殺人」、女性実業家殺害の容疑で取材攻勢にさらされる妹を助けて欲しいと姉から依頼される「復帰する朝」。休職中で、警察組織と関係なく北海道各地を自由に動き回れる仙道を使い、ニセコ、寂れた旧炭鉱町、札幌、帯広など、それぞれの土地柄が現れた事件を描く作者の筆は鋭い。捜査権も逮捕権もない仙道は、警察官というより私立探偵に近く、そこで明らかになる真実は必ずしも犯人にまつわることとは限らない。犯罪を通して、変わりゆく北海道の町と人々の悲哀をきりりと描いた良質な作品集。
カスタマーレビュー
kっっkぉlぴきっj
、
渋い
渋すぎ