思い出のマーニー ‪上‬

APPLE BOOKSのレビュー

イギリスの児童文学作家ジョーン・G.ロビンソンによる｢思い出のマーニー 上｣。養父母のもとで育てられ、誰に対しても心に壁を作って暮らしている主人公のアンナ。ぜんそくの療養のために訪れた海辺の村で、マーニーという不思議な少女と出会ったことがきっかけで、彼女に変化が訪れる。愛していながらも養母に心の隔たりを作り、周囲の人間を"内側"と"外側"に分けて観察する孤独な少女が、未知なる友人との出会いによって息を吹き返したように大きく変化していく。誰にも理解されないもどかしさや、大人への不信感をリアルに描き出すことで、読者の強い共感を呼んだ。どこかミステリアスなマーニーのキャラクターも魅力的。彼女と過ごす幻想的な時間から目覚め、アンナが次なる一歩を踏み出していく下巻も併せて読みたい。