熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録 増補完全版
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発行者による作品情報
大王製紙社長の長男として、幼少時代は1200坪の屋敷で過ごし、東大法学部に現役合格。27歳で赤字子会社を立て直し、42歳で本社社長就任。順調な経営、華麗なる交遊……すべてを手にしていたはずの男はなぜ〝カネの沼〟にハマり込んだのか? 創業家三代目転落の記。そして、刑期を終えたいま、何を思うのか――。出所後の独白を加え文庫化!
APPLE BOOKSのレビュー
2011年にワイドショーを連日にぎわせた、大企業御曹司の特別背任事件の顛末(てんまつ)を、その中心にあった御曹司自身が語る回顧録。大王製紙創業家の3代目に生まれ、少年時代には1,200坪の豪邸で暮らし、東京大学を出て赤字の子会社を黒字転換させた敏腕青年実業家が、ある日突然ギャンブルにのめり込み身を持ち崩していく。子会社から借り入れるという形で調達した総額106億8,000万円にも上る資金を海外のカジノで溶かし、自分の会社から告発されて懲役4年の実刑判決を受ける。決して無能なわけではなかった3代目社長が陥ったギャンブルの魔力。赤裸々に語られる数々のエピソードは浮世離れしているが、それでいて清々しいほどに嫌みがないのが著者自身の魅力といえるかもしれない。2013年に獄中で出版した書に、新たに収監中の獄中記なども追加した増補完全版。誰もがまねできるものではないが、転んでもただでは起きない男のバイタリティが感じられる。