現代語訳 方丈記
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Publisher Description
兼好法師の『徒然草』、清少納言の『枕草子』と並んで、古典日本三大随筆のひとつに数えられる。作者は、鴨長明。原文は和漢混淆文で記されているが、本書は文豪・佐藤春夫による現代語訳。
明治末期から昭和中期にかけて、小説はもとより文芸評論、随筆、戯曲、和歌に至るまで、その才能をいかんなく発揮した佐藤春夫は古典にも造詣が深く、「方丈記」の現代語訳はその格調の高さゆえに、夏目漱石による最初の英訳と共に高く評価されている。
鴨長明の生きた平安末期から鎌倉時代は、武家社会の台頭による価値観の変化、そして度重なる天変地異など、まさに世は不安の時代だった。
下鴨神社の神官の子として生まれた鴨長明は、そんな世の儚さを憂い、都から遠く離れた山中に一丈四方の小さな庵を結び隠棲する。
そこから見た混迷する都、そしてそこで暮らす人々の姿、さらには自らの人生に思いを馳せて、鴨長明はこの世の無常を綴った。前半のほとんどが大火、飢饉、大地震などの災害について書かれていることから、「災害記録文学」として読んでも面白い。
この作品には、昨今では不適切として受け取られる可能性のある表現が含まれますが、当時の時代背景、表現およびオリジナリティを尊重し、そのままの形で作品を公開します。