皇后の碧
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4.7 • 10件の評価
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- ¥2,000
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発行者による作品情報
少女ナオミは、風の精霊を統べる皇帝から「私の寵姫の座を狙ってみないか?」と突然誘われる。皇帝の後宮には皇后と愛妾がおり、彼の胸には皇后の瞳の色に似ている緑の宝石を選び抜いた首飾り「皇后の碧」が常に輝いていた。訝りつつ己が選ばれた理由を探るうち、ナオミは後宮が大きな秘密を抱えていることに気づくが……。
APPLE BOOKSのレビュー
アニメ化もされている大人気和風ファンタジー小説「八咫烏シリーズ」作者の阿部智里が本作で描くのは、精霊の世界を舞台にした、後宮へ招かれた少女の壮大な物語。土の精霊、ナオミは火竜によって故郷が焼かれていたところを、風の精霊である孔雀王、ノアによって救い出される。彼の宮殿「鳥籠の宮」で女官見習いとして暮らしていたナオミはある日、風の精霊を束ねる悪名高き暴君、蜻蛉(せいれい)帝シリウスの目に留まり「私の寵姫(ちょうき)の座を狙ってみないか」と誘われ、蜻蛉帝の宮殿「巣の宮」へと入ることに。しかし、なぜ自分が彼に見初められたのかを探るうちに、後宮に隠された大きな秘密があることに気付いていく…。蜻蛉帝の胸に輝く首飾り「皇后の碧」が意味するものや、精霊世界の契約、そしてノアの元妻であった皇后イリスは生きているのか。現実離れしたきらびやかで美しい世界観の中で繰り広げられる謎解きファンタジーに、一気に引き込まれ、時を忘れてしまう。純粋に、正統派ファンタジー作品といえば、この一冊と紹介したくなる秀作。